2021年04月27日

結婚記念日

昨日は結婚記念日だった。

今日は40年と1日目。

毎年気にも留めずに過ごしてきた。

無論プレゼントもケーキも無い。レストランもない。花などもらったこともない。




新婚早々の時に、夫の母に弁当のおかずの指示があった。

この倅は、鯖の煮つけを炙ったものが好きなのでそれを入れてやってくれと、それからベビーハムが好きなのでフライパンで焼き色を付けて入れてやってくれ、卵焼きも好物なので入れてやってくれと。
 
聞けば、鯖の煮つけは必ず作り置きしていたらしい。

素直で健気な嫁は、それを何十年も守った。


毎日毎日鯖とベビーハムと玉子焼き、あとはキンピラだったり、昨夜の残り物だったり、ホウレン草やブロッコリーの緑、ミニトマトやフルーツだったりと一応色彩りには気を付けた。


今から思えば、なんという姑の要らぬお世話(´-ω-`)
普通の嫁ならたぶん腹を立てるだろうに、私は腹が立たなかった。


この三点さえ入れておけばいいんだと思ったのだった。
これは楽じゃないかと。(笑)




あれから40年、先日車の中で夫がたまに無性にベビーハムが食べたくなる。買っていい?と聞いてきた。

私は見るのも嫌になり弁当が要らなくなってから買っていない。

そんなに好きなのかと可笑しかった。



死んだら棺桶にはベビーハム入れなきゃね、と言ったら、笑っていた。

夫は私の棺桶には蘭の花を入れてやろうと考えていたとその時言った。


10年後は金婚式だ。

そこまでは無理だろう。あせあせ(飛び散る汗) と夫は言っている。


穏やかな10年であってほしいと思う。




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2021年04月25日

備忘録 [銀の猫]朝井まかて著 

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江戸時代の介抱人(現代の介護ヘルパーさん)の物語


裕福なご隠居さんの老後に寄り添う主人公が、依頼されるそれぞれの家庭とそこに関わる人達の思いや苦労を根っこから汲み取り安寧に暮らすすべをそれとなく引き出していく物語。

そして、老衰して死んでいくさまを優しく描いている。


主人公の長屋の隣人で無論決して裕福ではない貧乏長屋の老婆が息子やお節介で元気な老女に看取られるシーンはジンとくるものがある。

ひとりが「逝きなすったね」と言う。静かにあの世に旅立った様子がすんなり腑に落ちる説得力を持った文章だった。


あーこんな風に静かに旅立ちたいものだと思った。




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posted by win-manma at 10:24| Comment(0) | TrackBack(0) | 備忘録

2021年04月11日

68歳になった。

先週68歳の誕生日を迎えた。

70歳になると老人の仲間入りのような気がするが、60代まではまだ老人とは言い難いような気がしている。

義母様のような98歳なんて先まではまだ想像することができない。


しかし、この年になると老後の生活を思ってみることが多くなった。

1人になって孤独に苛まれつつ送る老後や、
病床にあって、医者にも看護師にも冷たくあしらわれる腹立たしいような、情けない思いをする心境などを想像したりもする。


なかなか楽しい老後を夢見ることはなくなった。
現実をしっかり掴んで心構えをしておかねばと思うのである。


書の師匠は今年84歳になられる。
身体に不安を抱えながらも、自分でベンツを運転してあちらの教室こちらの教室、寄合い、会議と忙しく動きまわっておられる。
深く社会と繋がり、皆に必要とされる日々を送っておられる老後を羨ましく思う。


ちょっと字が書ける程度ではあーはなれない。夢のまた夢である。




同じマンションに同年代のお一人様男性がいる。
昔、どうも同性愛者らしいという噂が流れた。

先日エレベーターで一緒になった。
「あら、元気ないわね? どうかした?」と聞くと「うん、眩暈がひどくてね、入院してた」と言う。

そういえば夫が手術したとか聞いたよと言う。


同性愛らしいと噂のお相手とも数年前に夫が知り合いになった。
体調が悪い間ずっと傍にいて手伝いに通っていたらしいと夫が言っていた。




そうか、もう好いた惚れたじゃないんだ。
お互いを支えながら生きていく間柄になっているのだな、深いなと思った。


しかし戸籍に記されない関係に社会は冷たい。
親族ではない者は医療の場で地団駄踏むことが多いとも聞く。


近頃同性婚という見出しを見ることが増えてきた。




夫婦でも、もう好いた惚れたなんて関係はとっくの昔に過ぎ去って、
互いを時に励まし時に叱咤して、生活を維持するヤジロベーのような関係になっている。

バランスを取りながらフワフワくるくる動いているのである。

片方がいなくなったらさぞかしバランスを失ってひっくり返るんだろうなと思う。

そして、一人で立たなきゃならいと思わされる時が来る。



先のお一人様男性もそんな人生の瀬戸際を心安らかに幸せに過ごせればいいなと思う。






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posted by win-manma at 12:13| Comment(0) | TrackBack(0) | 暮らし