2022年11月26日

備忘録「土を喰ふ日々」水上勉著

映画「土を食らう12ヶ月」の原案を読んでみたくなり
図書館にリクエストすると直ぐに最寄りの図書館から届いたと知らせがきた。


水上勉作品を読んだことはなかった。

「飢餓海峡」「越前竹人形」など貧しい庶民の生活を題材にした暗い叙情的作品というのは苦手だ。

この手の苦労を背負った辛い物語を好まない質で、どちらかというと苦労を吹き飛ばす明るさを持った主人公が登場する物語が好きなのだ、読後感のさっぱり感を楽しみたい。
要するに私は苦労嫌いの馬鹿垂れだなと自分を顧みたりするこの頃である。



この「土を喰らう日々」は精進料理に親しんでいる水上さんの料理を12ヶ月に分けて載せてある。

水上さんは少年期、禅宗の寺で養われた小坊主の時に台所を任されてたらしい。
住職に精進料理を叩きこまれた様子が書かれている。


寺の料理は畑や山で食材を調達することから始まり、それを無駄なく幾通りもの料理に仕立て上げる知恵や技が要求さたと書かれている。


あー昔は自然と向き合いながらその日の食べ物を得ていたのだなと改めて教えられた。

今はスーパーや産直の店で多くの野菜や肉や魚を買い揃えてられる。
それを何でもかんでも冷蔵庫に詰め込み、いつ買ったのか忘れてしまったような食材が棚の奥に無残な姿で残っていることもしばしば。


先日読んだ
「本当に大事なことはほんの少し」ウー・ウェン著にも書いてあったように、買いだめしちゃだめだということを少し生活に取り入れるようになった。


おかげで冷蔵庫の中で野菜が凍ることがなくなった。詰め込み過ぎていたらしい。
そして食材を大切に扱うようになった。


そしてこの土を喰う日々を読むと美味しくいただくことの大切さ姿勢を学ぶことになる。


水上さんが数十年前の梅干しのことを題材にしておられた。

小僧時代の和尚が作られた梅干しが美味しかったとその梅干しを数十年後に頂いて涙するというお話。

その話を雑誌の載せると、若い読者からそんな古い梅干しが食べられるものかと非難された。
水上さんは怒っていた。今時の漬け方とは違うのだ!手間暇かけて大切に大切に作られる梅干しは何十年もいや百年以上もつのだと!


そうなのだ。
甘味料など使っていない紫蘇と塩だけで漬けて美味しい梅が世の中には確かに有る。


我が家ではあまり梅干しを食べないが時に欲しくなる。

そのために、御粥しか喉を通らぬ時の為に300g1000円の梅干しを買い置きしている。


これこそが本物の味という物が確かにある。
私はその味をいくつか知っている。



それを改めて思いおこして幸せな気持ちになった。



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2022年11月09日

備忘録「アルツ村」南 杏子著

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先日行きつけのグリーンコープ生協店舗で大きな声で喋っているというか文句を言っている老人がいた。

声は明るいのだが店の人と嚙み合っていない感じ、この店舗は会員制で少し高級感があるのでザワザワした雰囲気ではなく落ち着いて買い物ができる。


そのご老人、奥さんから注意されていた。「大きな声出して(。-`ω-)」と。

レジを済ませて表に出ると夫が珍しく笑っている。
どうしたのと聞くと

レジを済ませた客がエコバックに買った物を仕舞うテーブルで、備え付けのビニールの小袋に大きなキャベツを入れようと頑張っている人がいて可笑しかったらしい。
どう見ても入りそうにないのにねと笑っている。


たぶんあの老人だなと思った。
先日読んだ「アルツ村」に登場する認知症患者達の症状に似ている。

認知症患者を元リゾート開発地の広大な土地で収容しサポートする施設内で起こるちょっと(いやかなり)怖い物語。


認知症になるとこういう症状が出るのかととても参考になった。


先月夫の車で小倉駅構内にある掛かりつけの病院に行き、戻る時、パトカーに呼び止められた。

小倉駅前で一旦停止を怠ったと言う。


今まで何年も通った道だが一旦停止などした覚えがないと言っている。

警察官と夫が歩いてその場所に行くと一旦停止になっていたと言って戻ってきた。

普段、カーナビは「この先一旦停止があります」とアナウンスしてくれる。
通いなれた道、カーナビ言った?
腹立たしいが、切符を切られて罰金を払った。

後日、認知症検査を受けてくださいとの通知が来た。
絵を覚えたり、今日は何年何月何日?、、、、の試験を受け、手数料まで払う。
36点でアウト。
よほど進んだ認知症でなければアウトにはならないように設定してあるらしい。


年齢が進んでくると、私大丈夫?と思うことがある。
夫を見ていても大丈夫?と思うことがよくある。

スマホで認知症診断をするアプリを探してやってみた。
結果は大丈夫!だった。
少し安心する。


「アルツ村」の中に認知症の人が都会に住むと不具合が生じることが多いが、田舎暮らしだと「まぁいいか」と思えることが多く生きやすいと書いてあった。

そうかもしれない。

少々ボケても迷惑が掛かることや困ることが少なく穏やかに暮らせるらしい。

以前、近所に住む小さなお爺さんがいた。
青いヘルメットを被りニッカポッカ風の上下の作業服を着て腰に手ぬぐいを下げ、手にコンビニの袋を持って徘徊していた。
その歩き方がとても可愛かった。
いつの間にか見なくなった。どこかの施設に入ったのだろうか。本人の思うままにさせてやることはできないのだろうかと考えてしまった。


アルツハイマーではなく、脳の血管が切れて認知症になる場合は感情の起伏が激しくなり、怒りを抑えられなくという例も紹介されていた。

私はコレステロール値が高いのでいつか心臓か脳の血管が破裂する危険があると甲状腺の医者が心配してくれている。

甲状腺疾患でも認知症のような症状がでることがあるとも書いてあった。


ヤバいヤバい。(・。・;





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posted by win-manma at 15:04| Comment(0) | TrackBack(0) | 暮らし