いま全国からたくさんの人が訪れている。人生に迷うたび訪れるという若者大人になりかけの息子と一緒に旅をする父親…。高さ30メートルの巨木は、時に霧雨にけむり、時に朝日を浴びて赤く輝き、刻々と表情を変える。あおぎみるような縄文杉を前に、人々は何を思うのか?
NHKの番組説明
多くの人が10kmの道のりを歩いて巨木の前に佇み何かを感じている様子をテレビカメラに収めた番組でした。
ジブリアニメに通じる森の静寂と神秘的な空気観を感じたいと思う人がとても多いことに驚きました。
こんなに人がいては求める空気感は難しいのではないかと思いました。
しかし、誰もいない時間帯もあり、泊り込む人もいる。
行って見てみたいとは思いましたが、10kmの山道を歩く自信がありません。
18歳の息子と父親の二人旅の途中だと言うお父さんが印象的でした。
18歳の時、自分は一人旅をして色々考えた。
息子にもそんな経験をさせてやりたいと思い来たと仰っていた。
息子さんにも感想をとマイクを向けると、
「ウザイ」カメラに映されることや喋ることに抵抗を感じている18歳の青年はそんな風な言い方をして取材を拒んだ。
今時の若者らしい言い方ではあるなぁと思ってみていたら、お父さんが取材班の人たちに「こんな言い方しか出来ない若造で申し訳ない」と丁寧に頭を下げられた。
お父さん偉いなぁ。
息子を叱るのではなく、取材班に頭を下げることでお父さんは息子に教えている。
息子!分かるか?と言ってやりたかった。
「年上の人に失礼な言いかたをするな!」と言ってしまえば言い方の云々で終わってしまう。
お父さんは、それ以上のものを心に持っている。息子の成長を願っている。
それが伝わってきて切なかった。
静かに巨木と対峙したいと思って来ているのに、何とも迷惑な取材陣。
対峙の時を邪魔しないように細心の注意を払ってのドキュメント取材であったのだろうと思う。
それは誰もが快く取材に応じていたことで感じられた。
子を亡くし、その子の写真を携えて友人と来たという男性。
子の写真を取材陣に見せながら話している友の姿を見守りながら、一緒に来た友人が泣いていた。
ドキュメント72時間