病状を聞いていて相当に悪そうだとは思っていたが、まさか入院10日後にいってしまわれるとは思わなかった。
病院嫌いで医者に掛かろうとしてくれないと友人はこぼしていた。
食事もほとんど要らないと言う。我儘を通す人だからと付き添っている妻としては歯痒いけどうしようもないのよ、子供なら叱りつけて抱えて連れて行くのにねと言っていた。
強い意志を持ったご主人だなと日頃から感じていた。
きっと死期を感じておられて、なお医療に頼らず静かに命を終わらせる覚悟を決めていらっしゃったのではないかと思った。
亡くなったと聞いた時、この死にようはご主人の意思じゃない?と友人に言うと、息子ともお父さんらしい死に方だったねと話したと言っていた。
その友人が今深い悲しみから自律神経を狂わせている。
眠れない、食べられない、味覚臭覚が無い、寒い、血圧が乱上下する、脈拍が乱れる、集中できないなどの症状が出て日常生活に戻れなくなっている。
掛かりつけ医師に相談したら自律神経失調症だと言われ抗うつ薬が処方され、多少楽になったけれどまだまだね。と言っている。
こんなにも大きなダメージを受けた人を今まで見たことがなかった。
姑は舅が亡くなった時舅が迎えにきそうだと言って怖がり常軌を逸していた、が体の不調は訴えなかった。
母は心細げな半面意地を張るようなことを言っていたが毎日私の家に来て寂しさを紛らわし、孫と話して普通に暮らしていけそうに見えのに、一年もたたない間に癌が急激に進行してさっさとあの世に行ってしまった。
伴侶の死は残された物にこれほどに大きな衝撃を与えるものなのだと改めて思わされた。
友人は言う、誰もが通った道なんだと姉からも言われる、シッカリしなきゃ私どうしたの?と思う。でも体がついてこないと。
こういう人は意外に多いらしい、ネットで検索したところ国立がんセンター中央病院「家族ケア外来」の加藤雅志医師の記事がヒットした。
記事によると
数日〜数週間 強い衝撃「まさか、そんな」
数週〜数ヶ月 不眠 食欲不振 疲労感など
数ヶ月〜数年 楽しかったことが思い出せるように 生きがいや役割の再発見など
だいたいこのような経過をたどるらしく出口がないわけではないことが分かって少し安心した。
10歳も年上の厳しいシッカリした男性とお見合いし、お母さんに「馬には乗ってみよ人には添うてみよ」というよと言われて長崎から嫁いで50年、俺が明日死ぬと言われたらと聞かれ「あなたが死ぬ前の日私は死にます」と言っていたと笑って話してくれた。
それほどに信じ頼っていたのだと私は驚いた。幸せな結婚生活だったんと思う。
愛だなぁと思う。
.
【暮らしの最新記事】