2022年10月23日

私の相続放棄

備忘録「まずはこれ食べて」原田ひ香著

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三人屋は面白とは感じなかったのでこれはパスします。

「まずはこれ食べて」はタイトルの気安さとは違い、暗い内容だった。

池内胡雪は多忙なベンチャー企業で働く三十歳。不規則な生活で食事はおろそかになり、社内も散らかり放題で殺伐とした雰囲気だ。そんな状況を改善しようと、社長は会社に家政婦を雇うことに。やってきた家政婦の筧みのりは無愛想だったが、いつも心がほっとするご飯を作ってくれて――。現代社会の疲れを癒す、美味しい連作短編集。【商品解説】

解説ではこうなっているが、内容は美味しい料理がメインテーマではない。


貧富。人からの支配と人への支配。思いやり、本当の優しさ、冷たさ。
貧しさの中にあっても身内を愛する篤く優しい心。裕福なのに寂しさ辛さ不満冷めた心が盛り込まれていると感じた。



この物語に登場する秋枝(あきえだ)は上手く人をコントールする知恵を持っていて、人を支配して面白がって生きている男。



丁度弟を亡くした私に、相続権があるという事実を知り戸惑い悩み苦しんだ末に出した結論のタイミングで読んだ本だった。秋枝に似たような人間は確かにいるんだと思い、とても印象に残った小説だった。




弟の嫁さんが、銀行が私の押印と印鑑証明と謄本がいると言っているので用意してください。と言ってきた。
何故私の印鑑がいるのと聞いても銀行凍結を解除するためですとしか言わない。

これはおかしくないか?

弟の通帳に私の印鑑がいる?
どういうこと?
自分で調べて相続権があることを知った。


親も兄弟も子も無い残された妻に3/4 故人の兄弟姉妹が1/4 と法律で決められていた。


普通の人なら、お姉さんに1/4の相続権があるんです。
でも、私これから先何年生きるか分からない90迄生きたら30年です。不安なんですよ放棄してくれませんかというのが普通だし、筋だろう。

そうね。放棄するよ。それで済む話なのだ。

だが



30数年前私と上の弟の相続分をそっくり取ろうとした人。
今度は自分の財産を奪われると思っているようだ。




そんな相手の将来を気の毒がって、、、お人好しも時にバカだよ、受取ればいいのよ。という内なる声も聞こえる。



でも道理として放棄するのが私が選ぶべき道だよと思う。


国の法律はどうして私に相続させるの?
おかしいじゃない。二人で築いた財産でしょ。
一人残った姉とはいえ、貰う筋のものじゃないわ。


しかし嫁さんは
事実をはっきり伝えず、曖昧な言葉しか発しない。


私の相続権のことは決して口にせず。
銀行には分割協議書はないといい。
ならば、印鑑と印鑑証明、戸籍謄本を提出すればいいです。という言質を取り付け、
弟の銀行凍結解除のために印鑑その他を用意してくださいと言えば用意するだろう。
それで事は成るだろうと判断したのだろう。



1ヶ月経過したので、相続のこと話そうかというと、貝のように黙ってしまった。
どうしてほしいの?と聞いても答えない。

私は相続放棄するよ。と言ったら

私達のお金を何故義姉さんに渡す必要があるのよと思ったと、本音を漏らした。

渡すもんかと思ったと。


この人はこんな人だ。


30年前、口煩い叔母が私に罵詈雑言を浴びせかけてきた。親戚達も冷たい目で私を見た。嫁に行った者が相続?と。
嫁さんの父親が実家に不動産屋を連れて来て査定したことを私は聞いていた。

親戚たちがなぜ口出ししてくるのか不思議だった。
叔父や叔母たちは自分の兄弟が苦労して建てた家が嫁さんの実家に跡形もなく取られてしまうことに腹が立たないのだろうか。出て行ってしまった上の弟のことは捨て置けとでも言うのか。

この人達は弟の嫁さん家族に魅入られてしまったのだなと思い至った時、親戚達との繋がりを絶つ決心がついた。
上の弟の為にも両親の苦労を無にしない為にも決して引かないと決めた。
結局実家に居座っていたが、実家を奪う算段は自己消滅したようで、嫁さんの実家に逃げ帰ってしまった。たぶん、幽霊にでもなって親が出てきたのかもしれない。と私は思っている。家は荒れ果てていた。



昨日嫁さんが私の父の謄本を取るために委任状がいると言って我が家にきた。

一年前のあの時、癌が見つかり退院したばかりだということを打ち明けているのを聞いて驚いたと言った。誰にも話さなかったのに姉さんには話したと。

それが血の繋がり、姉弟なのよ。


貴女が私を避けるから付き合えなかったけど、会えばふわりと漂う親密性一瞬にして繋がる情。

あいつの辛い胸を内をもう少し分かってやればよかった。



私との距離はこのままがいいの?
私はたった一人の親族二親等らしいよ。と手を差し伸べたが返事をしなかった。
今まで通り何かあったらお知らせします。と答えた。

そして、四十九日は早めに来て荷物を斎場に運んでくれと言って帰っていった。




夫はだれが行くかと。人をコケにするものもいい加減にしろと怒っている。





これで終わったな。


弟よご免!
姉ちゃんとしてはここまでだわ。





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posted by win-manma at 15:59| Comment(0) | TrackBack(0) | 暮らし
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