(manmaの夫とは数年ぶりのご対面です。)
「元気しとったね

相変わらず元気でにこやかです。
この人元左官さんです。
manmaが好きな寡黙な職人気質とは一味違うタイプ
で、人を蹴散らして物言うタイプの職人さん。
「元気しとったね」の次に発した言葉は
「この家のローンは終わったと



manmaの攻撃態勢に火がつきました。
弱いものいじめは大嫌いですが、強い者いじめは大好きです。

お父さんは根っから誠実なタイプです。
正直にあと何年残ってるよと答えています。
「俺は16年で全部返したもんね

manma(はー

「そうそう ○吉さんが結婚する時(見合い結婚)、仲人さんが
『あの人いっぱい貯めてるから直ぐに家を建てるよ』と言っ
てたわ。

○吉さん、少しおとなしくなりました。

又少し経つと盛り返して、
「俺はもう満足しとうもんね 欲しい物はみんな買うたしね。」
manma
「何を買ったの ?」
○吉さん
はにかみながら(何かしら憎めない可愛さがある)
「屋久杉の応接台 とか」
お兄ちゃん(従姉妹の兄、私の従兄弟)
「180万円したんやろ

○吉さん 照れてます。

manma・・・
「わっ 趣味悪

「車は?」
○吉さん・・・
「マークU」「綺麗かよ


manma・・・
「エー レクサスじゃないの

「時計は ?」
○吉さん・・・
「時計は要らん、携帯があるやん」
manma・・・
「見栄張るなら時計でしょう

「靴と時計を見て人を品定めするっていうよ」
○吉さん言い返せません。
昔からmanmaを蹴散らすことが出来ないんです。
どうも一目置いているらしいのです。
「俺は中学しか出とらん馬鹿やしね、字も下手くそやけん

そんな時manmaは
「学校出てても意気地ないとどうしようもないじゃない。その点は○吉さん。スゴイもんね

「字なんて練習すればすむことよ」 とちゃんと言ってあげます。
妻である従姉妹には厳しくて
この従姉妹が「耐えられない」とよく泣いていました。
自分の価値観が絶対で妻や子はこれに従うものだと決めています。
(manmaも、ある種このタイプだと思われます。時々反省します)

日々生活費を抑えて、満足のいく老後を迎えつつある姿は素敵だと思います。
少しは贅沢な物も欲しい。それも手に入れたと自慢する気持ち踏みにじってはかわいそうですよね。
でもね。manmaとしてはなにかしらモヤッとした気分が残ります。
人のセンスは一朝一夕に出来上がるものではありません。
長い年月に美しいと感じるものの味わいを全身で受止めて、我が身にそのエッセンスを吸収してゆくことで培われてゆくものだと思います。
美しい、素敵だと思ってわが身に沿わせても馴染めないよそよそしさに諦めたり、その美しいものにわが身が寄り添って我が物にしてしまったり。
その積み重ねがその人のセンスと雰囲気になるのだと思います。
センスがいいというでしょう?
それは、美のエッセンスを吸収してブレンドされた精油のようなもの、その香りが『その人の香り』になることだと思います。
贅沢だと思いつつも屋久杉の180万円のテーブルを買ったことに満足する。
それはそれでいいのかもしれません。しかし、それではちょっと物足りない。
屋久杉の年輪の迫力や木目の美しさ、
テーブルに仕立てた職人の技と忍耐に惚れて手に入れたのなら、
お願い、
屋久杉のテーブルにビニールのクロスを載せて使うのは止めて

木の温もりを味わって。
使い込んだ美しさを・・・数十年後の重厚な艶や色合いを求めて。
美を育てるセンスをもってほしい。
「もう欲しいものは何も無い


180万円の品を買うことは蓄えたお金をポイと吐き出すこと。
しかし、その品が似合う人になるのは簡単じゃないわ。
自分に与える長い年月と投資が必要なんです。
その投資と年月に裏打ちされて自分の香りを持ち、
やっと『似合う人』に、人はなってゆくのだと思います。